鼓動
大好きな音の洪水
たくさんの温もりに包まれながら 音の中を漂う
そんな私を まるで現実に戻すかのように
突然身体の中心に 鋭く鈍い痛みが走る
最初は狭い範囲だった痛みが
徐々に身体の芯を痺れさせていく
時の経過とともに 心臓さえも 痺れ始めて
私の耳には うるさい程に 自分の鼓動音が響き渡る
大好きな景色を 捉え続けていたかった視界
痛みに耐えかね 思わず胸を抑えて蹲る
視界は 闇に包まれた
不気味な程に大きくなる心音を聴きながら
どうか今は止まらないで...
そう 祈り続けるしかなかった
今まで当たり前にできていたことが
徐々にできなくなっていく感覚
これはきっと 経験した者にしかわからない恐怖
まだ今は この鼓動を止めたくない 止まって欲しくない
あと もう少しだけだから...
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